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相続放棄した後の管理義務はいつまで?管理を任せる方法も紹介

相続放棄を行っても、故人の財産を管理(保存)する義務が残る場合があります。この義務のことを「管理義務(保存義務)」と呼びます。

 

相続財産の管理義務は、いつまで継続されるのか。また、相続財産を自分で管理するのが難しい場合、他の人に代理してもらうことは可能なのか。

 

本記事では、相続放棄の管理義務の仕組みや期間、相続財産清算人(相続財産管理人)に管理を任せる方法について解説します。

相続放棄後の管理義務はいつまで

相続放棄しても管理義務は残る?

相続放棄は、「被相続人の権利や義務を一切受け継がない」手続きです。故人に多額の債務があることが分かった場合は、相続放棄をすることで債務の負担から逃れられます。

 

ただし、相続放棄の申し立てを行っても、故人の財産の管理義務は残ります

例えば、故人が空き家、空き地、農地、山林などを残した場合、近隣住民などの迷惑にならないよう、相続放棄後も適切に管理しなければなりません。

 

そのため、管理義務の対象者となった場合、相続放棄を行ったのにもかかわらず、相続財産を管理する手間や費用が発生する可能性があります。

 

民法改正によって管理義務の対象者が明確化

相続財産の管理義務は、相続放棄をした人にとって大きな負担となります。

一部の自治体では、相続財産の管理義務を持ち出して、故人の家族に空き家などの管理を求めるケースもあります。

 

そうした背景をふまえて、2021年に民法の相続法に関する部分が改正されました。

これまでは管理義務の対象者が誰か明確化されていませんでしたが、改正民法が施行された2023年4月1日以降は、「放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有している」人が対象となります(民法第940条)。

 

また、相続財産の管理も含めた「管理義務」ではなく、状態を維持する「保存義務」に変更されました

例えば、故人の家に同居していた場合は、相続放棄を行った後も空き家の状態を「保存」する義務を負います。

 

(自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存しなければならいので、「管理義務」と「保存義務」の中身に実質的な違いはありません。)

 

一方、相続放棄を行った時点で故人の空き家、空き地、農地、山林などを占有していない場合、管理義務を負うことはありません。

改正民法の施行に伴って、相続放棄をした人の負担が大きく軽減されました。

相続放棄後の管理義務はいつまで?

相続放棄を行った時点で故人の家などを占有している場合、相続財産の管理義務(保存義務)を負うことになります。

 

相続放棄後の管理義務はいつまでつづくのでしょうか。2021年の民法改正によって、管理義務が継続する期間も明確化されています。

 

管理義務が発生するのは、相続人や清算人に財産を引き渡すまでです。

従来の民法の内容と比較しながら、相続放棄後の管理義務について解説します。

 

管理義務が発生するのは相続人や清算人に財産を引き渡すまで

従来の民法では、「その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで」の間、相続財産の管理義務が発生しました。

しかし、「相続財産の管理を始めることができるまで」とは具体的にいつのことを指すのか、分かりにくいという問題点があります。

 

そこで改正民法第940条では、管理義務が発生する期間が明確に定められました。

民法第九百四十条

相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

故人の空き家、空き地、農地、山林などを他の相続人か、民法第952条第1項の清算人に引き渡した段階で、相続財産の管理義務は終了します。

 

民法第952条第1項の清算人とは、相続人がいなくなった場合(相続放棄も含む)に家庭裁判所が選任し、故人の財産を管理する人のことを指します。

いずれの場合も、相続放棄を他の人に引き渡せば、それ以降管理義務を負うことはありません。

管理義務がある人が亡くなっても管理義務は引き継がれない

相続財産の管理義務がある人が亡くなった場合、管理義務が他の人に引き継がれることはありません。

 

相続財産の管理義務は、あくまでも「相続の放棄をした者」が負う義務です(民法第940条)。

他の人が相続財産の管理義務のみを引き継ぐことはないため、安心して相続放棄を行ってください。

 

認知症が進行した人の場合は代理人が管理義務を引き継ぐ

認知症が進行し、判断能力が低下した人が相続放棄を行う場合、後見人を選任して手続きをしなければなりません。

この場合、相続財産の管理義務も代理人が負うことになります。

 

もし相続財産の管理義務を怠って、家屋の倒壊などの損害が発生した場合、後見人の責任が追求される可能性があります。

相続放棄後の管理義務をなくす方法

相続放棄後の管理義務(保存義務)は、占有している財産を他の相続人に引き渡した段階でなくなります。

しかし、他に相続人がいない場合や、占有している財産を他の相続人が引き継がなかった場合、いつまでも管理義務が残りつづけることになります。

 

相続放棄後の管理義務をなくしたい場合は、相続財産清算人(相続財産管理人)を選任しましょう。相続財産清算人は、相続財産を管理する人に代わって債務の清算を行ったり、財産を処分したりする人です。

 

相続財産清算人を選任するには、故人の最後の住所地がある家庭裁判所で手続きを行う必要があります。

相続財産清算人には、家庭裁判所が最も適任だと判断した人が選ばれ、弁護士や司法書士などの専門家が選任されるケースもあります。

 

ここでは、相続財産清算人の選任に必要な費用や書類を簡単に解説します。

相続財産清算人の選任に必要な費用

相続財産清算人

相続財産清算人の選任の申し立てを行う場合、800円分の収入印紙の他、連絡用の郵便切手、相続財産清算人を公告するための官報公告料などの費用が必要です。

 

  • 収入印紙800円分

  • 連絡用の郵便切手

  • 官報公告料5,075円

 

その他、相続財産清算人が空き家や空き地などを管理するための必要経費も発生します。相続財産清算人に弁護士や司法書士などの専門家が選任された場合は、報酬の支払いも必要です。

なお、相続財産清算人の報酬は、家庭裁判所が決定しますが、相続財産の額にもよりますが10万円~100万円ほどとされています。相続財産で賄えれば不要ですが賄えないのであれば申立人が負担する必要があります。

 

相続財産清算人の選任に必要な書類

相続財産清算人の選任の申し立てに必要な書類は以下のとおりです。

 

必要書類

  • 申立書
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

  • 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

  • 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

  • 代襲者としてのおいめいで死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載がある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

  • 被相続人の住民票除票又は戸籍附票

  • 財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書),預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し,残高証明書等)等)

  • 利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書),金銭消費貸借契約書写し等)

  • 相続財産清算人の候補者がある場合にはその住民票又は戸籍附票

 

戸籍謄本などの取得には時間がかかるため、余裕をもって必要書類を準備しておきましょう。

(まとめ)相続放棄をすると財産の管理義務(保存義務)が発生する

相続放棄をすると、財産の管理義務(保存義務)が発生する場合があります。

相続財産を行った段階で相続財産を占有している場合は、他の相続人または清算人に引き渡すまで、財産を適切に保存しなければなりません。

 

相続放棄の管理義務をなくしたい場合は、相続財産清算人(相続財産管理人)を選任することもできます。

故人の最後の住所地がある家庭裁判所で申し立てを行いましょう。

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