相続・遺言に関する手続の総合案内(合同会社つなぐ(FP)×司法書士法人黒川事務所×行政書士黒川事務所の運営サイト)

相続遺言サポートつなぐ

(渋谷相談センター)東京都渋谷区渋谷3丁目7-3 第1野口ビル5階
(上野相談センター)東京都台東区東上野4丁目6-5 日比谷不動産ビル1階
(横浜相談センター)横浜市西区北幸2丁目5-13 西口幸ビル505
(梅田相談センター)大阪市北区堂島2丁目1-27 桜橋千代田ビル4階

お気軽にお問合せください

0120-971-259
営業時間
平日10:00〜20:00
土日10:00〜17:00
祝日休み

相続時精算課税制度について、FP資格を持つ司法書士がわかりやすく解説

生前贈与を行うとき「相続時精算課税制度」を適用すると効果的に節税できる可能性があります。

ただし相続時精算課税制度にはデメリットや注意点もあるので、正しい知識をもって適用を検討しましょう。

 

この記事では相続時精算課税制度の節税効果や注意点について、FP資格をもった司法書士が解説します。

 

生前贈与による節税を検討されている方や暦年贈与との選択に迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。

相続時精算課税制度

1.相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度とは、60歳以上の親や祖父母が成人した子どもや孫へ贈与するときに最大2,500万円分について贈与時は贈与税が非課税になる制度です。

 

贈与税の基礎控除は年間110万円なので、通常であれば110万円を超える贈与をすれば超過分に贈与税がかかります。

一方、相続時精算課税制度を適用すると最大2,500万円分までの分に贈与税がかからないので、節税できる可能性があります。

2,500万円を超えて贈与した分には、一律で20%の贈与税がかかります。

1-1.相続時に相続税と精算される

相続時精算課税制度は、完全に無税になるものではありません。

相続が発生したら、過去の贈与分を相続財産に組み入れて、まとめて相続税がかかります。

 

ただしその際の評価基準は「贈与時の時価」となるので、贈与時から相続発生時までに財産評価額が上がっていると、相続税を抑えられる可能性はあります。

1-2.成人年齢との関係

相続時精算課税制度では、年齢制限があります。

 

親や祖父母は60歳以上、受贈者(子どもや孫など)は18歳以上でなければなりません。

1-3.相続時精算課税で贈与するタイミングや期間

贈与のタイミングは税務署へ「相続時精算課税選択届出書」を提出した後であれば基本的にいつでもかまいません。

 

何年かに分けて分割して2,500万円分を贈与しても適用できますし、1回の贈与で2,500万円の枠を使い切っても問題ありません。

1-4.贈与財産の種類

相続時精算課税制度が適用される財産の種類には制限がありません。

預貯金、現金、不動産、株式、動産類など、どういったものの贈与にも適用できます。

以前は、相続時精算課税制度を利用すると暦年課税の110万円の基礎控除が使えませんでしたが、改正により累計2500万円の控除とは別に基礎控除110万円が新設されました。

2.相続時精算課税制度を有効利用しやすいケース

以下のような状況であれば、相続時精算課税制度を有効活用しやすいでしょう。

2-1.不動産や不動産の取得資金など、高額な財産を一括で贈与する

不動産や不動産の取得資金は数千万円単位になる場合も多く、高額になりがちです。

 

相続時精算課税制度を適用すると、2,500万円までは贈与税がかからないので負担を抑えられます。

2-2.事業承継の事案で評価額の高い株式や事業用財産を贈与する

事業承継の際、自社株の評価額が高額になって後継者へ贈与するときに高額な贈与税がかかるケースが少なくありません。

そんなとき相続時精算課税制度を適用すると、贈与税額を抑えられます。

 

特に先代社長へ退職慰労金を支給して一時的に株式評価額を下げたタイミングで贈与すると、後に相続税と精算されるときにも相続税額を低くできる可能性が高まります(精算時には贈与時の時価で算定されるため)。

2-3.他の特例と併用する

相続時精算課税制度は、他のさまざまな贈与税の特例と併用できます。

 

たとえば親や祖父母が子どもや孫へ住宅取得資金を贈与するときに使える住宅取得資金贈与の特例と併用すると、最大3,500万円までの贈与分を無税にできます。

 

住宅取得資金贈与とは、親や祖父母が子どもや孫へ家の取得費用を贈与したときに最大1,000万円分まで非課税にしてもらえる制度です。

相続時精算課税制度と合わせると、最大3,500万円まで無税にできるので、まとまった金額を贈与しやすくなるでしょう。

 

他にも以下のような特例と併用できます。

 

教育資金一括贈与の特例と併用

親や祖父母が子どもや孫へ教育資金を一括贈与するときに使える特例です。最大1,500万円まで非課税になるので、相続税精算課税制度と併用すると最大4,000万円まで非課税にできる可能性があります。

 

結婚・子育て資金の一括贈与と併用

親や祖父母が子どもや孫へ結婚・子育て資金を一括贈与するときに最大1,000万円まで無税になる特例です。

相続時精算課税制度と併用すると、最大3,500万円まで無税で贈与できる可能性があります。

 

(もちろん相続時精算課税制度利用分は後々相続発生時に相続税の対象として清算の対象になります)

相続トラブル防止効果もある

相続時精算課税制度を使って財産をまとめて贈与しておけば、遺産分割の対象になりません。

死後に相続人たちが遺産分割の方法を巡ってトラブルになるのを防止する効果も期待できます。

3.相続時精算課税制度のデメリット、注意点

相続時精算課税制度にはデメリットや注意点もあります。

3-1.無税になるわけではない

相続時精算課税制度を利用しても、無税になるわけではありません。

贈与分については相続時に相続財産に組み入れて相続税がかかるからです。

基本的には「納税の先延ばし」に近いイメージといえるでしょう。

 

ただし相続財産に課税する場合の評価額は「贈与時の時価」です。

贈与後に財産の価額が上がった場合には、効果的に節税できる可能性があります。

 

また賃貸不動産や高配当株式などの収益性のある財産を贈与すれば、早期に子どもや孫が収益を得られて、贈与者の財産は増えません。

収益性の高い財産を贈与するなら、結果的に相続財産を減らせる効果を期待できるでしょう。

3-2.小規模宅地等の特例が利用できない

相続時精算課税制度を選択すると、小規模宅地等の特例が利用できません。

小規模宅地等の特例は、居住用等の宅地が相続される際、一定の要件を満たしていれば、評価を80%減額できる特例です。

 

この特例を利用すると、相続する宅地の評価額が高いほど大きな節税になります。

 

将来、宅地を相続することが想定される場合は、どちらを選択するか、慎重に検討する必要があります。

4.相続時精算課税を適用する方法

相続時精算課税制度を適用するには、はじめて贈与した年の翌年の2月1日から3月15日までの間に「贈与税の申告」をしなければなりません。

 

その際、贈与税の申告書だけではなく「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。

 

届出書を提出しないと暦年課税制度が適用されて110万円を超える部分に贈与税がかかってしまうので注意しましょう。

相続時精算課税制度を適用すると贈与税を大きく節税できる可能性がありますが、後に相続税がかかってしまいます。

大幅な節税を期待しても、思ったほどの効果を得られない可能性があるので注意しましょう。

 

ただ贈与時の時価を抑えられる自社株などの財産や将来的に値上がりしそうな不動産(収益を生む賃貸物件)であれば、制度の適用によって大きく節税できるケースもあります。

 

いったん相続時精算課税制度を適用すると、もとの暦年課税制度には戻せません。迷ったときには一度、専門家の意見を聞いてみると安心できるでしょう。

監修者:黒川聡史

監修者:黒川聡史

保有資格と所属団体

  • 司法書士:東京司法書士会所属:登録番号4230号
  • 行政書士:東京都行政書士会所属:登録番号第19082582号
  • FP(FP技能士1級:日本FP協会CFP®)
経歴

昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。

相続の手続き|遺言書作成のご相談は

司法書士黒川

司法書士法人黒川事務所
行政書士黒川事務所
合同会社つなぐ

お電話でのお問合せはこちら

0120-971-259

受付時間

平日10:00〜20:00 土日10:00~17:00

祝日休み

ご相談内容と曜日によっては担当者がお休みを頂いている場合がございます。