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生前贈与を行うとき「相続時精算課税制度」を適用すると効果的に節税できる可能性があります。
ただし相続時精算課税制度にはデメリットや注意点もあるので、正しい知識をもって適用を検討しましょう。
この記事では相続時精算課税制度の節税効果や注意点について、FP資格をもった司法書士が解説します。
生前贈与による節税を検討されている方や暦年贈与との選択に迷われている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目 次
1-1.相続時に相続税と精算される
1-2.成人年齢との関係
1-4.贈与財産の種類
2-1.不動産や不動産の取得資金など、高額な財産を一括で贈与する
2-2.事業承継の事案で評価額の高い株式や事業用財産を贈与する
2-3.他の特例と併用する
3-1.無税になるわけではない
3-2.小規模宅地等の特例が利用できない
以前は、相続時精算課税制度を利用すると暦年課税の110万円の基礎控除が使えませんでしたが、改正により累計2500万円の控除とは別に基礎控除110万円が新設されました。
相続時精算課税制度は、他のさまざまな贈与税の特例と併用できます。
たとえば親や祖父母が子どもや孫へ住宅取得資金を贈与するときに使える住宅取得資金贈与の特例と併用すると、最大3,500万円までの贈与分を無税にできます。
住宅取得資金贈与とは、親や祖父母が子どもや孫へ家の取得費用を贈与したときに最大1,000万円分まで非課税にしてもらえる制度です。
相続時精算課税制度と合わせると、最大3,500万円まで無税にできるので、まとまった金額を贈与しやすくなるでしょう。
他にも以下のような特例と併用できます。
教育資金一括贈与の特例と併用
親や祖父母が子どもや孫へ教育資金を一括贈与するときに使える特例です。最大1,500万円まで非課税になるので、相続税精算課税制度と併用すると最大4,000万円まで非課税にできる可能性があります。
結婚・子育て資金の一括贈与と併用
親や祖父母が子どもや孫へ結婚・子育て資金を一括贈与するときに最大1,000万円まで無税になる特例です。
相続時精算課税制度と併用すると、最大3,500万円まで無税で贈与できる可能性があります。
(もちろん相続時精算課税制度利用分は後々相続発生時に相続税の対象として清算の対象になります)
相続時精算課税制度を適用するには、はじめて贈与した年の翌年の2月1日から3月15日までの間に「贈与税の申告」をしなければなりません。
その際、贈与税の申告書だけではなく「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
届出書を提出しないと暦年課税制度が適用されて110万円を超える部分に贈与税がかかってしまうので注意しましょう。
相続時精算課税制度を適用すると贈与税を大きく節税できる可能性がありますが、後に相続税がかかってしまいます。
大幅な節税を期待しても、思ったほどの効果を得られない可能性があるので注意しましょう。
ただ贈与時の時価を抑えられる自社株などの財産や将来的に値上がりしそうな不動産(収益を生む賃貸物件)であれば、制度の適用によって大きく節税できるケースもあります。
いったん相続時精算課税制度を適用すると、もとの暦年課税制度には戻せません。迷ったときには一度、専門家の意見を聞いてみると安心できるでしょう。
昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。