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LGBT(同性)パートナーを生命保険の受取人に変更!ステップと注意点

「だいぶ前に生命保険を組んだ時は約款の制限で母親を受取人にしたけど、遺言で受取人を同性パートナーに変更できる?」

ゲイやレズビアンなど、LGBT(同性)カップルの方にとって、生命保険は有用な相続対策になります。

しかし、遺言により同性パートナーを保険金受取人に変更するという方法は、あまりお勧めはできません。

実際に同性パートナーに保険金が支払われるかについて、その確実性が危ぶまれるからです。

以上の話は下記の記事で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。

とはいえ、保険会社にも知り合いがいるなどの事情から、受取人を同性パートナーに変更することについて保険会社にも生前は秘密のまま手当しておきたいというご希望を伺うこともあります。

そこで今回は、遺言で受取人を変更する際の具体的なステップについて、段階ごとの注意点やポイントと併せて詳しく解説していきたいと思います。

暖かい光の中で、生命保険と書かれた紙の側にペンと眼鏡が置かれた画像で、遺言による受取人の変更を示唆している

保険契約(約款)を確認しよう

保険金受取人は、保険約款等で一定の範囲に制限されているのが通常です。

親族のみに限定されていることがほとんどでしたが、最近は異性間事実婚のパートナーや同性パートナーまで認める保険会社も存在します。

生命保険約款と書かれた文書をテーブルの上で両手で持っている画像で、保険金受取人の変更が可能かを約款で確認することの大事さを示唆している

遺言により受取人を変更する場合も、基本的にその制限に服することになりますので、遺言により同性パートナーを受取人に変更できるのかについて、まずは契約内容を確認するか、匿名で聞いてみるなどの方法で保険会社に確認しましょう。

なお、法律の明文で遺言による受取人変更が認められたのは平成22年施行の新保険法からになります。

しかし、それより前に加入された保険であっても、約款で自発的に受取人変更を認める取扱いをとっていた保険会社もあるので、作業としては同様に契約内容の確認や保険会社への相談がファーストステップになります。

遺言執行者を指定しよう

保険法では「遺言による受取人変更を保険会社に対抗するには、受取人変更の旨を遺言者の死亡後に保険会社に通知すべき」とされています(保険法44条2項)。

この規定の意味合いは、もし保険会社が受取人変更を知らないまま変更前の受取人に保険金を支払ってしまっても、その責任を保険会社に追求することはできないというものです。

保険金は預貯金等と異なり死後すぐに支払われることがあるため、速やかな通知が求められますが、通知は法定相続人か遺言執行者によってなされる必要があります。

同性パートナーに受取人を変更するための通知に、法定相続人があまり協力的でないという事態が想定されることは少なくないでしょうから、遺言書で同性パートナーを遺言執行者にも指定しておきましょう。

遺言執行者については、下記の記事で詳しく解説しているので、よければご覧ください。

遺言は公正証書にするか法務局に保管しよう

遺言による受取人変更は、当然の前提としてその遺言が有効なものでなければなりません。

遺言書にはいくつか方式があり、その中でも公正証書遺言がお勧めです。

公証人という法律の専門家により遺言の形式や内容がチェックされ、その上で原本は公証役場で保管されるため、遺言内容の実現可能性が一番高くなります。

ただ、一定の公証人手数料は発生するため、その点を重視して自筆証書遺言にする場合は、法務局へ保管しましょう。

法務局職員が遺言の形式をチェックした上で法務局で保管されますので、次善の策として選択肢に上がります。

この辺りの、公正証書遺言と自筆証書遺言の有用性の違いは下記の記事で徹底解説していますので、よければご覧ください。

遺言書には明確に記載しよう

自筆証書遺言の場合、法務局に保管する場合であっても法務局職員は遺言の内容までチェックする権限を持たないため、ご自身で受取人変更の文言を正しく記載する必要があります。

ポイントは、①対象となる保険を具体的に特定することと、②「保険金受取人を変更する」と明記することです。同性パートナーに保険金を受け取らせる、というような曖昧な記載は避けましょう。

 

保険⾦受取⼈変更の遺⾔書記載例
遺言書の記載例

遺言者は、下記生命保険契約に基づく生命保険金の受取人を◯◯(昭和◯年◯月◯日生)に変更する。

保険契約の表示

保険証券番号 ◯◯◯◯号

契約日    平成◯年◯月◯日

種類     ◯◯生命保険

保険期間   ◯◯年

保険金額   ◯◯万円

保険者    ◯◯保険会社

契約者    遺言者

被保険者   遺言者

まとめ

遺言による受取人の変更という方法は、生前に行うステップとしてはさほど難しくはないと思います。

ポイントは、①そもそも保険契約で同性パートナーを受取人に指定可能とされているのかの確認が必要という点と、②遺言で同性パートナーを遺言執行者に指定しつつ、死後は速やかに保険会社に遺言の内容を通知すべき旨を同性パートナーに伝えておくという点です。

遺言執行(遺言書の内容を実現する作業)の中でも、不動産の名義変更と保険会社への通知は最優先で取り組むべき事項です。

相続法という英単語の文書を広げる男性の手元の画像

本来は、受取人変更は生前に行っておく方が安全ではあります。

しかし事情により遺言による方法を選ばれる場合でも、上記のポイントをおさえていただければ、かなりの確度をもって同性パートナーが保険金を取得することが可能となり、その後の生活を支援して差し上げることが可能になるでしょう。

本サービスの担当・執筆者

本サービス担当・執筆者の司法書士長野正義の顔画像

長野 正義(ながの まさよし)

保有資格
  • 司法書士(東京司法書士会所属/登録番号:第8353号)
  • 個人情報保護士
  • 知的財産管理技能士(二級)
経歴等

昭和57年 東京都文京区 生まれ

平成16年 中央大学 法学部法律学科 卒業

平成22年 司法書士試験 合格

平成23年 簡易裁判所の訴訟代理権試験 合格

一般企業の法務部、大手の司法書士法人等を経て、現職。

メッセージ

裁判所への書類や企業間契約書など、法律文書の作成を専門として15年程の実務経験があります。定型文中心の行政申請業務が主流の司法書士業界では珍しい経歴かもしれません。

現在は特に、同性カップルの法的課題に対する支援に注力しており、遺言書や医療同意委任契約など、法的効力や実務上の実効性を重視したサポートを行っています。

「一人の人生の大事な局面に関わる責任」を重く受け止め、依頼者の思いに応える成果を提供できるよう、今後も研鑽を続けて参ります。

好きな言葉

・至誠一貫   ・第一義

趣味

・茶道(裏千家/許状:行之行台子)

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