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パートナーシップ制度のデメリットは?メリットもシビアに網羅解説

「パートナーシップについて、セレモニーの側面ではなく具体的なメリットを知りたい」

ゲイやレズビアンなど、LGBTの方向けのパートナーシップ契約や、自治体(市区町村などの役所)のパートナーシップ登録(宣誓)制度に注目が集まっています。

登録したカップルの数は、2026年には日本全国で10,000組に達する勢いのようです。

この記事では、それらの契約や制度のメリット、さらにはその限界(デメリット)についても詳しく解説していきます。

虹色のリストバンドをした二人が手を繋いだ画像で、性別を問わない結束の強さを表現している

パートナーシップ契約の目的は紛争回避

一般に契約書が日の目をみるのは、契約当事者同士で利害が対立する状態に陥ってからです。

パートナーシップ契約も同様で、関係が破綻したときに、財産の帰属や慰謝料などについて、カップル間で白黒つけるというのが法的側面での主な目的になります。

夫婦が言い争う中で六法と思われる分厚い本を背景にして勝敗を示す人がいる画像

 

 

パートナーシップ契約を含めずに低価格でご提供している当事務所の法律文書作成サービスについては、下記ページをご参照ください。

パートナーシップ制度のメリットは色々なサービス

パートナーシップ「契約」の第一の目的は紛争回避ですが、自治体が運用しているパートナーシップ登録(宣誓)の「制度」は、民間または行政上のサービスが受けやすくなるというメリットがあります。

あくまで法律上の効力は伴わない制度ですが、カップルの状況次第では大きなメリットがあります。

下記では、民間サービスと行政サービスに分けて、パートナーシップ制度に登録することによるメリットを詳しく解説していきます。

民間サービスが受けやすくなる

民間事業者のサービスの中には、パートナーシップ登録証を提示することによって、家族同様のサービスを受けることが可能になるものがあります。

その代表的な例を下記に列挙していきます。

住宅ローンでのペアローン利用が可能に

みずほ銀行やフラット35など、全国的に多くの金融機関において、異性配偶者と同様にペアローン利用を可能とする取組みが開始されています。

この面は、高額な住宅購入を検討しているカップルにとっては大きなメリットになります。

合鍵2つとかわいい家のキーホルダーの画像で、同棲への期待を表現している

 

保険金受取人への指定が可能に

この面では、同居を証明するための住民票の提出でも受取人指定を可能とする保険会社も増えてきており(ライフネット生命やアクサ生命など)、この面でのパートナーシップ登録の必要性は従前より低くなってきていると言えます。

自動車保険や火災保険で配偶者と同様の扱いが可能に

この面でも、パートナー関係に関する同意書の提出をもって、配偶者と同様に同性パートナーを補償対象に含めることが可能な保険会社も多く、必要性は高くはないと思います。

クレジットカードでの家族カードの作成が可能に

この面でも、生計が同じであれば必要書類なしで申し込めるカード会社が増えてきており(楽天カードなど)、必要性は高くはないと言えるでしょう。

携帯電話の家族割やポイント・マイルの家族利用が可能に

この面でも、必要書類なしで申し込める通信会社等も多く、必要性は高くはないと思います。

勤務先によっては福利厚生の対象に

大企業を中心に、同性パートナーを配偶者に準じて福利厚生(結婚祝金の支給や忌引休暇、単身赴任手当の支給など)の対象としている企業もあるようです。

手厚い支援が整備されている可能性もあるので、勤務先の就業規則等を一度ご確認されることをお勧めします。

 

行政サービスが受けやすくなる

行政サービスの中にも、その自治体のパートナーシップ登録証を提示することによって、家族同様のサービスを受けることが可能になるものがあります。

市役所庁舎の画像

登録証の提示により利用可能となる行政サービスの範囲は、自治体によってかなりの格差がみられます。

例えば、全国に先駆けてパートナーシップ制度を開始した渋谷区では、主に公営住宅への同居申込が可能になる点に現状限られています(2025年1月1日現在)。

お住まいの自治体のホームページ等で、受けられるサービスが公表されていることが多いので、一度ご確認されることをお勧めします。

まだまだ制度の黎明期という面から仕方ないのかもしれませんが、手厚いサービスとはいえない自治体が少なくない印象です。

日本全国の自治体において既に実施されたことがあるサービスの例を列挙すると、下記のとおりです。

登録証提示による行政サービスの例
住宅

・公営住宅への同居申込

・新生活の家賃補助

・住宅ローンの利息補助

・住民税証明書の交付

・保険料の納付相談

防災

・災害見舞金

・被災証明書等の交付

・仮設住宅への入居

環境 ・公営墓地の使用
困窮者支援

・生活困窮者自立相談支援

・住居確保給付金

・生活保護の認定

・DV相談

介護

・要介護認定代理申請

・介護施設負担額軽減の判定

子育て

・保育所等の利用

・保育所等の送迎者登録

・就学困難者への就学援助

なお、登録証の提示がなくても配偶者と同様の扱いで利用できる行政サービスもあります。上記に例示したサービスの中でも、自治体によっては登録証の提示なく利用可能なものが多数含まれます。

親切な自治体は、登録証提示の要否を分けて利用可能な行政サービスを一覧表で紹介しています。

パートナーシップ登録のメリットを把握する上では、登録証の提示が必須なのかという点にも着目して確認されるとよいでしょう。

パートナーシップ制度の限界

パートナーという英語は、日本語では「伴侶」とも訳されますので、パートナーシップ登録という名称は、伴侶として戸籍に登録される結婚届に近いですね。

しかし、言葉の意味合いは近くても、制度の効力としては比べようもない格差があります。

下記では、パートナーシップ登録の限界を解説していきます。

法的効力がない

この制度は、上記のとおり、民間ないし行政上の「サービスを受けやすくする」ということが目的なので、あくまで「法律的な効力を伴わない」ものです。

そのため、結婚届と異なりパートナーと法的には親族になれず、あくまで他人のままです。

そのため、下記のデメリットが懸念されます。

税金や社会保険でのデメリット

カップルのどちらかの収入が低くても、所得税や住民税の配偶者減税を受けたり、社会保険の扶養に入ることはできません

しかしこの面では、子供がいなくて共働きの多いLGBT(同性)カップルでは、二人とも一定程度の収入があることが多く、デメリットに映らないことも多いかと思います。

住民票の続柄と扶養の可能性

社会保険の扶養については、同性婚が認められない前提であっても、将来的には同性パートナーも扶養に入ることが可能になるかもしれません。

社会保険は税法と異なり、結婚届を出していない男女の事実婚の配偶者も、住民票の続柄に「妻(未届)」「夫(未届)」と記載されていれば扶養に入ることが可能です。

まだ少数ですが一部の自治体では、同性カップルの住民票について、パートナーシップ制度の利用を条件に、同様の夫婦としての記載を認める取組みを始めています(東京都世田谷区・中野区など)。

国は同性パートナーへの扶養認定に反対の立場ですが、今後も男女の事実婚と同性カップルの事実婚を同様に扱う流れは強まるでしょうから、同性婚よりも早く認められる可能性は十分あると言えるでしょう。

家族と車と家に傘を差し伸べようとする画像で、社会保険の可能性を表現している

 

遺産相続でのデメリット

パートナーシップ制度で解決できない大変大きな問題は、相続権がないことです。

民法の遺産承継制度はそのほとんどが対象を親族に限定しているため、パートナーシップ制度に登録しても対象外のままです。

唯一、「相続人不存在」という制度があり、亡くなった方と生計を共にするなど、特別の縁があった人(特別縁故者)が遺産を承継する道を残しています。

パートナーシップ制度に登録すれば、その特別縁故者として裁判所に認定されやすくはなるでしょう。

ガベルをそばに黒い法服を着た男性が目の前の人の主張を書き留めている画像で、裁判官が特別縁故者の主張を審理している様子を表現している

しかし、「相続人不存在」という名前のとおり、特別縁故者が遺産を承継できるのは、亡くなった方に相続人となるべき親族が誰もいないというレアケースに限定されています。

具体的には、亡くなった方に兄弟がおらず、かつ、亡くなった方のご両親も既に他界しているようなケースです。

つまり、パートナーシップ制度への登録だけでは、大半のケースで1円も遺産をもらい受けることができません。

そのため、遺言書や養子縁組など別の法的制度を活用して相続対策をしておく必要があります。

遺言書の重要性や養子縁組については、下記の記事で詳しく解説しているので、よければご覧ください。

市外に引っ超すと利用不可

この制度は、あくまで自治体ごとの制度ですので、市外に引っ越す場合には今の住所地での登録を解除して、引っ越し先で再登録をする必要があります。

ミドル世代は引越しも少なくないと思いますが、引っ越す度に受けられる行政サービスが変わってしまうことになります。

さらに言えば、渋谷区のように、カップルの「双方」が同じ市内に居住し、かつ、住民票上の登録があることが条件とされていることも少なくありません。

この場合には、一方が市外に引っ越しをすると、もはやパートナーシップの登録自体ができなくなってしまいます

まとめ

住宅ローンのペアローンを検討されているカップルや、登録証の提示により手厚い行政サービスが認められている自治体にお住まいの方は、パートナーシップ契約ないし登録制度によるメリットは少なくありません。

そのため、まずはお住まいの自治体のホームページをご確認されることをお勧めします。

パートナーシップ制度のデメリットとして、法的効力はなく相続対策にはならないので、遺言書等の法的制度活用も検討する必要があります。

パートナーシップ契約も当サイトでお勧めしている遺言書等の法律文書3点セットも、お二人の将来のためにご一緒に検討される過程自体が有意義なものではないかと思います。

当事務所のサービスについてご質問等ございましたら、ぜひご連絡いただければと思います。

本サービスの担当・執筆者

担当司法書士の顔画像

長野 正義(ながの まさよし)

保有資格
  • 司法書士 東京司法書士会所属
  • 個人情報保護士
経歴等

昭和57年 東京都文京区 生まれ

平成16年 中央大学 法学部法律学科 卒業

平成22年 司法書士試験 合格

平成23年 簡易裁判所の訴訟代理権試験 合格

一般企業の法務部、大手の司法書士法人等を経て、現職。

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