相続・遺言に関する手続の総合案内(合同会社つなぐ(FP)×司法書士法人黒川事務所×行政書士黒川事務所の運営サイト)
お子様のいらっしゃらない「おふたりさま」ご夫婦の場合、子どものいるご家庭とは異なる遺産相続対策が必要です。
何もしないで放置していると、一方の死後に遺された方が大きな不利益を受けてしまうおそれもあります。
今回は子どものいないご夫婦に発生するリスクや相続対策方法について、FP資格をもった行政書士兼司法書士が解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目 次
1. おふたりさまとは
2-1. 配偶者が生きていれば必ず相続人になる
2-2. 親が生きていれば優先的に相続する
2-3. 親がいない場合、兄弟姉妹が相続する
3-1. 配偶者と親が共同相続人になってトラブル
3-3. 相続人がいなくて遺産が放置される
3-4. 内縁の夫婦で相続権が認められない
3-5. お互いの介護問題
4-1. 遺言書を作成する
4-2. 任意後見契約や財産管理契約を活用
4-3. 民事信託を利用する
まずは必ず遺言書を作成するようおすすめします。
遺言書を作成すると、遺産分割の方法を指定できます。
たとえば「配偶者にすべての遺産を相続させる」と指定しておけば、配偶者と親や兄弟が遺産分割協議をする必要がありません。
配偶者にすべての遺産を遺すことが可能となり、その生活が守られます。
ただし親や祖父母などの直系尊属には遺留分が認められるので、遺留分侵害額請求が起こらないように一定の遺産は親にも遺すのがよいでしょう。
なお兄弟姉妹や甥姪には遺留分がないので、そちらの方が相続人になる場合には遺留分の配慮は不要です。配偶者にすべての遺産を相続させるだけの遺言書で問題ありません。
遺言は公正証書遺言がおすすめ
遺言書を作成するときには「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3つの方式から選べます。
中でもおすすめは公正証書遺言です。
公正証書遺言とは、公証人が公文書として作成する遺言書です。公証人が作成するので、自筆証書遺言のように「要式違反で無効」になることがほとんどありません。
また原本が公証役場で保管されるので紛失する危険もなく、偽造や変造などのおそれもなくなります。
公正証書遺言は、公証役場へ申し込むと作成してもらえます。
子どものいないご夫婦の場合、将来の介護問題や認知症問題も心配です。
おすすめの対策方法は、任意後見契約や財産管理契約です。
信頼できる人と任意後見契約を締結しておけば、将来介護が必要になったときなどに適切に介護や財産管理をしてもらえます。
甥や姪、若い弟や妹などの親族がいて頼める場合には、家族信託の利用も検討できます。家族信託とは、信頼できる家族などの人に財産を託して管理運用してもらう契約です。
たとえば自分の死後に配偶者のために家や預金などを管理や処分してもらえれば、遺された配偶者も安心して生活ができるでしょう。
ただし民事信託を利用するには信頼できる家族が必要です。
また設定が複雑なので、まずは一度専門家へ相談するようおすすめします。
昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。