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相続登記を自分でやる手順を解説!自分で登記するメリットとデメリットは?

「不動産の相続登記を自分でできますか?」といったご相談を受けるケースがよくあります。

 

結論からいうと、相続登記を自分でできる方もおられますが、できない方もおられるのが現実です。自分でやるとデメリットもあるので、リスクを踏まえた上で自分がするのか専門家へ依頼するのか判断しましょう

 

この記事では不動産登記の専門家である司法書士が、不動産の相続登記の手順や費用、自分でできるタイプの人とそうでない人について解説します。

 

土地や建物、マンションなどの不動産を相続した方はぜひ参考にしてみてください。

相続登記を自分でする

1.相続登記は自分でできる?

相続登記とは、相続した不動産の所有名義を被相続人から相続人へ変更する手続きです。

不動産の所有者が死亡しても名義人は自然に変更されません。相続人が自主的に法務局へ申請し、相続登記しなければならないのです。

法改正により、2024年には相続登記が義務化されることが決まっています。今のうちから早めに相続登記しておきましょう。

 

相続登記は簡単ではありませんが、努力すれば自分でもできる方もおられます。反面、難しくてできないと感じる方もいます。

2.相続登記の手順

不動産の調査

まずは対象不動産についての正確な情報が必要です。

不動産の「登記簿謄本(全部事項証明書)」を取得しましょう。

登記簿謄本は、全国の法務局で取得できます。窓口申請や郵送での請求、オンライン申請ができるので、都合に応じた方法を使いましょう。手数料は1通480円~600円です。

 

不動産の所有名義が亡くなった方になっていることを確認したら、相続登記を進めましょう。

必要書類を集める

次に相続登記に必要な書類を集めましょう。

相続登記の「種類」により、必要書類の具体的な内容は異なります。相続登記には以下の3パターンがあるためです。

  • 遺産分割前に法定相続人全員の共有登記とする
  • 遺産分割内容にしたがって相続登記する
  • 遺言書によって相続登記する

 

上記のどのケースかで詳細は異なりますが、一般的には以下のような書類が必要となると考えましょう(遺産分割協議によって相続登記するパターンの書類です)。

書類の名称 取得方法

被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍

(出生から死亡までの連続したもの)

本籍地のある役場へ申請
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) 被相続人の住所地の役所へ申請(戸籍の附票は本籍地の役場)
法定相続人全員の戸籍謄本 本籍地のある役場へ申請
不動産の相続人の住民票 住所地の役所へ申請
固定資産評価証明書(名義変更する年度のもの) 不動産のある市町村の役所へ申請
相続関係説明図 作成する
遺産分割協議書 相続人全員が話し合った結果をまとめて作成して実印を押印
相続人全員の印鑑証明書 印鑑登録している役所へ申請
登記申請書 作成する

戸籍謄本類の収集

必要書類を集めるとき、多くの相続人が難しいと感じるのは「戸籍謄本類の収集」です。

最低限、被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本を集めなければなりません。

代襲相続が発生している場合や親・兄弟などが相続人となる場合、さらに多くの戸籍謄本類が必要となって非常に複雑です。

登記申請書を作成する

次に登記申請書を作成します。

法務局のサイトに書式を置いてあるので、ダウンロードして利用すると良いでしょう。

間違うと相続登記の申請を受け付けてもらえないので、見本を見ながら正しく作成してください。

書類をコピーする

書類が揃ったら法務局へ提出しますが、その前に提出書類をすべてコピーしましょう。

 

登記申請の際、コピーを提出すると登記ができた後に原本を返却してもらえます。

 

原本が返ってきたら、他の相続登記や預貯金払い戻しなどの手続きに利用できて便利です。

書類を法務局へ提出する

用意した相続登記用の書類を法務局へ提出しましょう。

このとき、登録免許税を払わねばなりません。

相続登記にかかる登録免許税の金額は不動産の固定資産評価額の0.4%です。

事前に取り寄せた固定資産評価証明書をもとに、計算して必要な金額分の収入印紙を購入しましょう。

 

書類の申請方法は、窓口での提出と郵送による提出の2とおりから選べます。

不備を補正

提出書類に不備があった場合、法務局から補正の連絡が来ます。訂正しないと相続登記できないので、速やかに対応しましょう。

 

自分で相続登記をやると、どうしても不備が生じやすくなります。

何度も法務局に足を運んで修正を繰り返す人も少なくありません。

書類を受け取る

登記が完了したら、法務局から「登記識別情報通知」を受けとれます。

 

登記識別情報通知は、不動産の所有者であることを証明できる番号が書いてある通知書です(昔の権利証に該当します)

不動産を売却する際などにも必要となる重要書類なので、大切に保管しましょう。

 

また原本還付申請をした場合には、戸籍謄本などの原本を返還してもらえます。

3.相続登記を自分でやるメリット

相続登記を自分ですると、専門家へ支払う費用が不要です。

 

相続登記にかかる司法書士費用はおおむね10万円程度(1つの物件につき)なので、その費用を節約できるのはメリットとなるでしょう。

4.相続登記を自分でやるデメリット

相続登記を自分でやると、大変な手間がかかります。何度も法務局へいかねばならないケースも多く、貴重な時間も割かねばなりません

またスムーズに進められず受け付けてもらえないリスクも発生します。ストレスも大きくなるでしょう。

 

労力や時間コストを考えると、結果的に司法書士へ依頼した方が得になるケースも少なくありません。

5.相続登記を自分でやってもいいケースとは

5-1.単純な事案

相続関係が単純で収集すべき戸籍謄本類なども少ないなら、比較的自分でも相続手続きを進めやすいです。

たとえば相続人が配偶者と子どもだけのパターンなら、相続手続きを自分たちでしてもよいでしょう。

5-2.手間と時間をかけてもよい

相続登記に手間や時間をかけられる状況であれば、自分でやっても負担に感じにくいものです。

5-3.平日の日中に時間をとれる

登記申請するときには、法務局や市区町村役場へ必要書類を取りに行ったり窓口へ申請しに行ったり相談したりしなければならない状況になりがちです。

 

これらの役所の開庁時間は平日の日中に限られるので、時間を開けやすい方は自分で相続登記しやすいでしょう。

6.司法書士へ依頼した方が良いケース

6-1.代襲相続や兄弟が相続する場合

子どもが先に死亡していたために孫が代襲相続する場合、兄弟姉妹が相続する場合などには、集めるべき戸籍謄本類の通数が非常に多くなります。

 

ただでさえ大変な戸籍収集の負担がさらに増大するので、専門家へ依頼しましょう。

6-2.被相続人の先代のまま登記が放置されている

不動産の名義が被相続人ではなくさらに先代のまま放置されている場合、数世代分の調査や相続登記をしなければならない可能性があり、手間がかかります。

 

自分で対応するのは難しいので、専門家に依頼しましょう。

6-3.相続人同士が不仲、連絡をとりづらい

他の相続人と連絡をとりたくない、とりづらい場合などには、相手からの必要書類収集も含めて司法書士に登記をすべて任せるのが得策です。

6-4.早く登記を完了したい

自分で手続きを行うと、どうしても手間取って登記が遅れてしまいがちです。

早く確実に登記を完了したいなら、司法書士へ依頼しましょう。

監修者:黒川聡史

監修者:黒川聡史

保有資格と所属団体

  • 司法書士:東京司法書士会所属:登録番号4230号
  • 行政書士:東京都行政書士会所属:登録番号第19082582号
  • FP(FP技能士1級:日本FP協会CFP®)
経歴

昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。

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