相続・遺言に関する手続の総合案内(合同会社つなぐ(FP)×司法書士法人黒川事務所×行政書士黒川事務所の運営サイト)

相続遺言サポートつなぐ

(渋谷相談センター)東京都渋谷区渋谷3丁目7-3 第1野口ビル5階
(上野相談センター)東京都台東区東上野4丁目6-5 日比谷不動産ビル1階
(横浜相談センター)横浜市西区北幸2丁目5-13 西口幸ビル505
(梅田相談センター)大阪市北区堂島2丁目1-27 桜橋千代田ビル4階

お気軽にお問合せください

0120-971-259
営業時間
平日10:00〜20:00
土日10:00〜17:00
祝日休み

行方不明者がいる場合の遺産分割協議の方法

相続人の中に行方不明な人がいる場合、その人を無視して遺産分割協議を進めることはできません。「不在者財産管理人」を選任する必要があります。

 

今回は相続人の中に行方不明者がいる場合の遺産分割協議の進め方をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

行方不明者がいる場合の遺産分割

1. 行方不明者を無視した遺産分割協議は無効

相続人の中に行方不明者や連絡を取りづらい人がいる場合、まれにそういった人を外して残りの相続人だけで遺産分割協議を進めようとする方がおられます。

しかし一部の相続人を外した遺産分割協議は無効です。

遺産分割協議には、法定相続人が全員参加しなければなりません。

 

たとえ連絡が取れない相続人や長期にわたって行方不明な相続人がいても、無視することはできません。

2. 預貯金払い戻しや不動産の登記もできない

相続人の中に行方不明者がいる場合、そのままでは預貯金の払い戻しや不動産の相続登記などの手続きもできません。遺産分割協議書がないと、こうした手続は受け付けてもらえないのです。

 

ただし以下のような方法であればできます。

2-1. 預金の仮払い

法定相続人は、法定相続分の3分の1または150万円の少ない方の金額まで預金の仮払いを受けることができます。葬儀費用や生活費など緊急にお金が必要な場合には仮払いの制度を利用するとよいでしょう。

 

なお法定相続分満額まで受け取りたい場合、家庭裁判所で「仮処分」を申し立てましょう。仮処分が認められれば法定相続分まで預貯金を受け取れます。

2-2. 共有登記

不動産の場合、法定相続人が法定相続分に応じて共有登記するだけなら遺産分割協議書が不要です。相続人の単独申請でも受け付けてもらえるので、行方不明の相続人がいても共有登記ができます。

ただし不動産を共有にすると後にトラブルになる可能性が高いのでおすすめではありません。

 

相続人の中に行方不明者がいる場合には、できるだけ「有効な遺産分割協議書」を作成して遺産相続問題を最終解決したいものです。

 

以下でパターン別に「相続人の中に行方不明者がいる場合の対処方法」をみていきましょう。

3. 単に連絡を取れない場合

相続人に連絡しても無視されるけれど、どこにいるかはだいたいはっきりしているケースがあります。

単に連絡をとれないだけであれば、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てましょう。

調停が始まると、家庭裁判所から当事者全員宛に呼出状が届きます。

親族からの連絡には対応しなくても、家庭裁判所からの呼び出しには応じる人が多数います。

 

ただし家庭裁判所からの呼び出しにも対応しない場合、「審判」になります。

すると、裁判所が遺産分割方法を指定してくれるので相手が対応しなくても遺産分割できます。

 

いずれにせよ、単に連絡をとれないだけなら遺産分割調停や審判の申立によって解決できる可能性が高いといえます。

4. 行方不明になっているなら不在者財産管理人を選任

行方不明者が住民票すら置いていない場合や住民票上の住所に住んでいない場合など、本当にどこにいるかわからない場合には「不在者財産管理人」を選任しましょう。

4-1. 不在者財産管理人とは

不在者財産管理人とは、行方不明者の財産を本人に代わって管理する人です。

 

行方不明でも財産が残されている場合、誰かが管理しないと散逸したり債権者や関係者に迷惑がかかったりして不都合が生じます。本人が自分で管理できる状態になるまで、誰かが代わりに管理しなければなりません。

 

そこで利害関係人は家庭裁判所へ不在者財産管理人の選任を申し立てると、家庭裁判所が適切な人を選任してくれるのです。

 

遺産分割に参加して遺産を受け取る権利も財産権の一種なので、不在者財産管理人が選任されるとその人を交えて遺産分割協議を進められます

 

相続人の中に行方不明者がいるなら、多くの場合には不在者財産管理人を選任すると解決できます。

4-2. 不在者財産管理人の選任方法

不在者財産管理人は、以下のような方法で選びましょう。

 

【申請できる人】

不在者財産管理人の選任を申し立てられるのは、本人の配偶者や相続人、債権者などの利害関係人や検察官です。

 

【申請先の家庭裁判所】

選任を申請する家庭裁判所は「不在者の最終住所地や居住地の家庭裁判所」です。

 

【必要書類】

申立時には以下の書類が必要です。

  • 申立書(裁判所に書式があります)
  • 不在者の戸籍謄本または全部事項証明書、戸籍附票
  • 財産管理人候補者の住民票または戸籍附票
  • 本人が行方不明であることがわかる資料
  • 本人の財産資料(不動産登記事項証明書、預貯金通帳の写し、取引履歴、株式関係書類など)
  • 相続人が申立てる場合には戸籍謄本どの相続関係がわかる資料

 

【費用】

1件について800円分の収入印紙が必要です。

他に連絡用の郵便切手を用意しなければなりません。

事案によっては財産管理に必要な費用を予納金として払わねばならない可能性もあります。

4-3. 不在者財産管理人を選任する場合の注意点

不在者財産管理人を選任する際には以下のような点に注意が必要です。

 

遺産分割協議が終わっても業務が続く

不在者財産管理人の業務は、遺産分割協議が終わった後も続きます。

いったん選任されると、本人が帰ってくるか死亡した事実が判明するまで財産管理を継続しなければなりません。

管理人が自分のために勝手に財産を使うと横領罪も成立してしまいます。

親族を不在者財産管理人にすると、遺産分割協議終了後の業務について負担が及んでしまう可能性があるので、誰を候補者に立てるかについては慎重な判断が必要となるでしょう。

 

本人が帰ってきたときにトラブルになる可能性

不在者財産管理人を選任しても、本人が帰ってきたら任務が解かれます。

このとき、本人は事情がわからないので「勝手に遺産分割をされた」ととらえる可能性もあります。すると、本人と不在者財産管理人との間でトラブルが起こってしまうでしょう。

 

以上のように、親族が不在者財産管理人になると余計な負担が及んだりトラブルになったりするリスクが高まります。

適切な候補者がいない場合には、はじめから司法書士や弁護士を選任するとスムーズに進められるので、関心ある方はお気軽にご相談ください。

5. 7年以上生死不明なら失踪宣告も可能

行方不明の相続人が7年以上生死不明であれば「失踪宣告」も検討できます。

 

失踪宣告とは、長期にわたって行方不明の人や死亡の可能性の高い人について「死亡した扱い」にする制度です。失踪宣告が認められると本人は死亡した扱いになるので、遺産分割協議に参加させる必要はありません。

行方不明者の相続人を遺産分割協議に参加させて遺産分割を進められます。

 

ただ失踪宣告してしまうと、本人が帰ってきたときにトラブルになる可能性が高くなります。帰ってくる可能性がある程度見込まれる場合には、失踪宣告よりも不在者財産管理人の方が良いでしょう。

 

失踪宣告か不在者財産管理人か、どちらの制度を利用すべきかについては専門的な判断が必要です。迷われたときには司法書士がアドバイスしますので、お気軽にご相談ください。

行方不明者がいる場合の遺産分割協議のまとめ

相続人の中に行方不明者がいる場合には、不在者財産管理人の選任や失踪宣告の申立など、いくつかの対処方法が考えられます。

被相続人の生前であれば遺言書を作成するのも有効な対処方法となります。

 

遺産相続時にお悩みごとがある場合には、専門家へ相談しておくと安心です。

当事務所でも積極的な対応を進めていますので、お気軽にご相談ください。

遺産分割協議書の関連記事を紹介

遺産分割協議書の書き方

不動産・預金・有価証券・自動車など遺産分割協議書の書き方を実例付きで解説

相続人に未成年者がいる場合の遺産分割

相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議には特別代理人を選任する必要があります。

遺産分割の手続きの流れと分割方法について

遺産分割の流れと3つの遺産分割の方法を紹介。

相続税が発生する人は期限もあります。

認知症の相続人がいる場合の遺産分割

認知症の相続人は遺産分割協議ができない!遺産分割をするには成年後見人を選任することになります。

遺産相続の流れや対象について

遺産相続の手続きの流れや遺産の対象になる財産を解説。また、相続人の法定相続分の割合も紹介。

遺産分割協議(証明書)は協議書とは違う?

遺産分割協議(証明書)と遺産分割協議(書)の違いと作成時に注意する点を紹介。

監修者:黒川聡史

監修者:黒川聡史

保有資格と所属団体

  • 司法書士:東京司法書士会所属:登録番号4230号
  • 行政書士:東京都行政書士会所属:登録番号第19082582号
  • FP(FP技能士1級:日本FP協会CFP®)
経歴

昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。

相続の手続き|遺言書作成のご相談は

司法書士黒川

司法書士法人黒川事務所
行政書士黒川事務所
合同会社つなぐ

お電話でのお問合せはこちら

0120-971-259

受付時間

平日10:00〜20:00 土日10:00~17:00

祝日休み

ご相談内容と曜日によっては担当者がお休みを頂いている場合がございます。