相続・遺言に関する手続の総合案内(合同会社つなぐ(FP)×司法書士法人黒川事務所×行政書士黒川事務所の運営サイト)
家族が亡くなったら、家の片付けや遺品整理が必要です。相続放棄をしても、故人の財産の「管理業務」が残るケースもあります。
ただし、家の片付け方によっては、財産を相続する意思があるとみなされ、相続放棄の申し立てが認められない可能性があります。
相続放棄をされるなら家を片付ける場合は、ゴミや資産価値のないものを除いて、故人の遺品を処分しないようにしましょう。
本記事では、相続放棄後に家の片付けをするときのポイントや注意点を解説します。
故人が多額の債務を残した場合、相続放棄をすることで債務の支払い義務から逃れられます。ただし、相続放棄の前後で行った行為によって、相続放棄の申し立てが認められなくなる可能性があります。
例えば、以下の行為はNGです。
故人の相続財産を処分する(売却など)
故人の相続財産を隠匿する(通帳を隠すなど)
故人の相続財産を消費する(使い込みなど)
相続放棄と違って、故人の財産をそのまま受け継ぐことを「単純承認」と呼びます。故人の相続財産を勝手に処分した場合は、単純承認を行ったとみなされるため、相続放棄が認められません。
相続放棄をする場合、特に注意しなければならないのが、故人の家の片付けや遺品整理です。
民法第九百二十一条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び
第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしな
かったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部
若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
他に相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄を行った場合、故人の財産を処分できる人がいなくなります。
その場合、財産の管理義務が残る一方で、誰も遺品の処分や売却ができない状態になってしまいます。
その場合の対応としては相続財産清算人を選任する方法があります。
相続財産清算人は、相続人がいない場合(相続放棄も含む)に故人の財産を管理し、必要に応じて債務の清算などを行う人を指します。
特に故人の借金が残っている場合は、相続財産清算人を選任すると代わりに手続きを進めてくれます。
相続財産清算人を選任する場合、故人の居住地域の家庭裁判所で手続きを行いましょう。相続財産清算人は、弁護士などの専門家を選任することが一般的です(ただし、報酬が発生します)。