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相続放棄をしたのに固定資産税の納税通知がきた!義務が生じるケースや対処法を解説

相続放棄をすれば、プラスの財産だけでなく滞納税のようなマイナスの財産も放棄できます。そのため、通常であれば土地や建物の相続放棄をすれば、固定資産税の納税義務も負いません。

 

しかし、固定資産税は特殊な取り扱いにより、相続放棄の時期によっては納税義務が生じてしまうため注意が必要です。

 

本記事では、相続放棄後に固定資産税の納税義務が生じるケースと、納税通知がきたときの対処法を解説します。

相続放棄したのに固定資産税

相続放棄をすれば固定資産税を支払う義務はなくなる

相続放棄とは、相続の開始を知り(被相続人が亡くなった日)、自身が相続人であることを知った日から3カ月(熟慮期間)以内に、権利義務の承継を拒否することです。

 

土地や建物の固定資産税についても、原則的には相続放棄を行うことで「初めから相続人ではなかった」ものとして扱われ、支払いの義務はなくなります。

相続の開始を知った日から3カ月を経過している場合

なお、納税通知が届いたことで初めて被相続人の死亡を知り自身が相続人になっている相続が発生していることを知るケースもあります。この場合は納税通知が届いたときから3カ月以内が熟慮期間となります。この間に相続放棄を行い、裁判所に認められれば固定資産税の支払い義務はなくなります。

 

しかし、土地や不動産の固定資産税には「台帳課税主義」という制度があるため、上記のように相続放棄をしていても、放棄が受理された時期によっては支払い義務が生じるケースがあります。そのため、納税通知が届いたときは放置せず、現状の確認が必要です。

相続放棄をしたのに固定資産税の納税通知が届く理由

固定資産税納税通知書

相続放棄後に納税通知がくる理由は、固定資産税が「台帳課税主義」を採用しているためです。その年の1月1日時点で市区町村の固定資産課税台帳に所有権者として登録されていると、相続放棄の有無に関わらず納税通知が届きます。

固定資産税の納税義務者は「課税台帳に登録されている人」

先に、「そもそも固定資産税の納税義務者は誰になるのか」を確認します。

 

地方税法343条では、「毎年1月1日(賦課期日)時点の所有権者が固定資産税を納税しなければならない」と定めています。

固定資産税課税台帳への登録は市区町村の調査により行われる

所有権者が死亡すると、土地や不動産のある市区町村で法定相続人から相続人を推定します。推定した結果、1月1日時点で固定資産税課税台帳に登録されると、納税義務が発生します。結果として、相続放棄をしているのに納税通知が届くとうい事態となります。

 

なお、固定資産税課税台帳に登録されている者に対し課税する制度を、「台帳課税主義の原則」といいます。

相続放棄の時期により固定資産税の納税義務は異なる

ここでは、具体例を基に相続放棄をしても固定資産税の支払いが必要な場合と不用な場合を解説します。

 

相続開始から年をまたいで相続放棄が完了した場合

【例】相続放棄の手続きを11月1日に行い、翌年2月1日に受理されたとき。

 

この場合、1月1日に相続放棄の手続きが終わっていないため、相続人が固定資産税課税台帳に登録されます。

よって、相続人に固定資産税の納税義務が生じてしまいます。

 

 

相続開始から年内に相続放棄が完了した場合

【例】相続放棄の手続きをその年の3月1日に行い、同年4月1に受理されたとき。

 

この場合、賦課期日である翌年1月1日よりも前に相続人から除外されるため、固定資産税の支払い義務は生じません。

 

固定資産税は相続放棄をしていても台帳課税主義が優先される

以上のように、固定資産税は相続放棄をしていたとしても、その年の1月1日時点で固定資産税課税台帳に相続人として登録されていた場合、納税義務が生じることがあります。

 

これは、固定資産税課税台帳の登録された人を納税義務者として考える、いわゆる「台帳課税主義」の原則によるものです。

相続放棄をしたとしても納付の義務が発生する可能性はあるため、注意しましょう。

相続放棄後に固定資産税納税通知書が届かないようにする方法

固定資産税納税通知書は固定資産課税台帳に登録されることで届きます。そのため、年内に相続放棄をしたときは、不動産を管理する市区町村に相続放棄が完了した以下の書類を提出し、事前に発送を止めておくとよいでしょう。

 

相続放棄申述受理通知書

相続放棄申述受理証明書 など

相続放棄後に固定資産税納税通知書が届いたときの対処法

固定資産税課税台帳に登録されているときは、固定資産税を立替払いして、後日、本来の相続人に立替分の請求を行います。合わせて、翌年以降の課税が生じないよう、法務局で被相続人から本来の相続人へ登記名義変更も行ってもらうにしましょう。

1. 立替払いをする

固定資産税を払わずそのままにしていると、遅延金の発生や給与・不動産の差し押さえなどが行われます。そのため、相続放棄をしていたとしても、本来の相続人に代わり、立て替えて支払いましょう。

2. 本来の相続人に請求する

立替払いをした固定資産税は、実際に相続した人に対し返還請求が可能です。これを求償権といいます。

 

とはいえ、Aが相続放棄をしているなら、B、Cと、他の人も相続放棄を行い、相続人が誰もいなくなることも多くあります。この場合、相続財産を法人化した相続財産法人(相続財産管理人)に対し、請求を行います。

 

しかし、上記に対し請求をして回収するのは困難であり、あまり現実的ではありません。立て替え払いするときは、回収できないことも多いと覚悟しましょう。

3. 本来の相続人に登記名義変更をしてもらう

固定資産税課税台帳に記載されている名義を変更しないと、翌年以降も固定資産税を支払わなくてはけません。そのため、法務局で被相続人から本来の相続人へ登記名義変更も行ってもらいましょう。

相続の固定資産税を支払うときの注意点

現預金などの相続財産から固定資産税が払えそうだからといって、安易に支払うと、相続放棄ができなくなる恐れがあるため注意しましょう。

 

民法921条1号の規定により、相続人が相続財産の一部(または全部)を処分したときは、「単純承認」をしたものとみなされます。

 

単純承認とは「被相続人の権利義務を無限に承継する」(民法920条)もので、単純承認をすれば相続放棄ができません。そのため、プラスだけでなく、マイナスの財産も全て引き継ぐこととなります。

 

さらに、相続財産からマイナスの財産を精算し、余りが出た場合引き継ぐ「限定承認」もできなくなるため注意しましょう。

被相続人が滞納していた固定資産税は相続放棄できる?

固定資産税のうち被相続人が生前に滞納していた分の金額は、相続放棄により納税義務はなくなります。

 

なお、先述の単純承認のように、誤って相続してしまうと税金や借金、国民健康保険料などの滞納分の支払い義務も負うため注意しましょう。

 

また、滞納した税金を相続した場合、原則、免除はされません。また、税金には5年間の時効があるものの、督促状の送付により時効を中断できるため、事実上、時効消滅もありません。

なお、分割支払いは可能です。

まとめ|固定資産税納税通知が届いたら相続放棄した時期を確認しよう

通常、税金は相続放棄をすれば納税の義務を負いません。

 

しかし、固定資産税は「課税台帳主義」という特殊な課税制度が採用されている点に注意が必要です。課税台帳主義では、1月1日に市区町村の固定資産課税台帳に所有権者として登録されている者に対し請求を行います。たとえ相続放棄をしていても固定資産税の支払い義務が生じる可能性があります。

 

相続放棄など、相続財産の整理が必要なときは早めに専門家に相談し、対処しましょう。

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監修者:黒川聡史

監修者:黒川聡史

保有資格と所属団体

  • 司法書士:東京司法書士会所属:登録番号4230号
  • 行政書士:東京都行政書士会所属:登録番号第19082582号
  • FP(FP技能士1級:日本FP協会CFP®)
経歴

昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。

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