相続・遺言に関する手続の総合案内(合同会社つなぐ(FP)×司法書士法人黒川事務所×行政書士黒川事務所の運営サイト)

相続遺言サポートつなぐ

(渋谷相談センター)東京都渋谷区渋谷3丁目7-3 第1野口ビル5階
(上野相談センター)東京都台東区東上野4丁目6-5 日比谷不動産ビル1階
(横浜相談センター)横浜市西区北幸2丁目5-13 西口幸ビル505
(梅田相談センター)大阪市北区堂島2丁目1-27 桜橋千代田ビル4階

お気軽にお問合せください

0120-971-259
営業時間
平日10:00〜20:00
土日10:00〜17:00
祝日休み

生前の相続放棄は無効!放棄させたい・放棄したいときの代替案を紹介

被相続人が亡くなる前に相続放棄をすることはできるか気になる人は多いでしょう。民法上、生前の相続放棄は認められていません。

 

そのため、被相続人の借金などを理由として相続放棄を申し立てたい場合は、亡くなった後で手続きを進める必要があります。

また、相続させたくない相続人がいる場合も、事前に相続放棄をさせることもできません。

 

本記事では、生前の相続放棄が無効となる理由や、生前に相続放棄したい・させたい場合の代替案を詳しく解説します。

生前の相続放棄は無効

生前に相続放棄はできない

相続放棄は、相続人としての立場を放棄し、被相続人の財産(資産や負債)の相続を拒否するための手続きです。

 

主に被相続人が多額の借金を抱えており、債務が引き継がれるのを阻止したい場合に相続放棄の申し立てを行います。

しかし、被相続人の存命中に相続放棄をすることはできません。

その理由は、「民法上、生前の相続放棄に関する規定がない」ためです。

(当然、生前に家庭裁判所で手続きをしても却下されます)

 

民法第915条によると、相続放棄が可能なのは「相続の開始があったことを知ったとき」から3カ月以内です。

 

一般的には、被相続人の死亡を相続放棄の申し立ての起算日と考えます。

そのため、被相続人が多額の借金を抱えていることがあらかじめわかっていたとしても、相続放棄の手続きは被相続人が亡くなってから進める必要があります。

第915条 

1 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

生前の遺産分割協議も無効

同様にして裁判所の判例などから、生前の遺産分割協議も無効とされます。

遺産分割協議は、相続人全員が集まり、遺産の分け方について話し合う協議です。

被相続人が存命中に遺産分割協議を行った場合、相続人同士の紳士協定(暗黙の了解)としての効果は期待できますが、法的拘束力はありません。

そのため、亡くなった後で改めて遺産分割協議を開き、生前の遺産分割協議と異なる決定を下すことも可能です。

生前に相続放棄させたい場合の代替案

どうしても相続させたくない相続人がいる場合は、以下の対処方法があります。

  • 遺言書を作成する

  • 生前贈与をする

  • 推定相続人の廃除をする

遺言書を作成する

遺言書を作成する

法定相続人は、遺産の取り分の目安として、民法で法定相続分が定められています。

 

被相続人(遺言者)が「相続させたくない人以外の相続人や第三者へ遺贈する」の内容を書いた遺言書を作成することにより、相続させたくない人へ遺産を渡さないことも可能です。

 

ただし、相続人が配偶者・子供・親の場合は遺留分が認められていますので、遺留分を侵害している場合は、遺留分侵害額請求をされる可能性が残ります。

 

この場合は、さらに、家庭裁判所の許可を得て、生前に遺留分を放棄してもらうという方法も併用することが考えられます。

遺留分放棄の流れや必要書類

遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人に認められた権利です。

被相続人の遺言の内容によらず、相続人は財産の一部を遺留分として請求することができます。

 

遺留分は、法定相続人が自ら申し立てることにより、被相続人の存命中に放棄することも可能です。

遺留分放棄の手続きは、被相続人の住所を管轄する家庭裁判所で行う必要があります。

また、申し立てには以下の書類が必要です。

  • 申立書

  • 被相続人の戸籍謄本(全部事項証明書)

  • 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)

遺留分放棄の申し立てには、相続人1名につき800円分の収入印紙が必要です。

また、家庭裁判所と連絡を取り合うための郵便切手も申立人が用意する必要があります。必要な郵便切手の金額は、各裁判所のホームページなどで確認できます。

 

なお、遺留分放棄を行っても、被相続人の負債の相続を放棄することはできません。被相続人の借金などを引き継ぎたくない場合は、亡くなってから改めて相続放棄の手続きをする必要があります。

生前贈与をする

生前贈与する

生前贈与で相続させたくない人以外の相続人や第三者へ贈与をすれば、実質的に相続する財産を減らしたり無くすことができます。

 

ただし、贈与する時期や割合などによっては、相続の際に生前贈与された財産を持ち戻さなくてはならないといったケースもあります。

 

同じく、生命保険を活用すれば死亡保険金は受取人固有の財産になるので、相続財産から除外することができます。

推定相続人の廃除をする

相続人が被相続人を「虐待」したり、「重大な侮辱」を行ったりしている場合は、推定相続人の廃除の手続きが可能です。

家庭裁判所に申し立てが認められれば、相続人の相続権を喪失させることができます。

ただし、推定相続人の廃除は、限定的なケースにしか認めらないため、あまり現実的な手段ではありません。

生前に相続放棄したい場合に方法はある?

親に多額の借金がある場合など、相続放棄の3カ月の期限を考えたら、生前に相続放棄をしておきたいと思われるケースもあるでしょう。

 

しかし、生前に相続放棄をすることはできませんので、亡くなってから3か月以内に相続放棄をするしか方法はありません。

生前に債務整理など対応してもらう

生前にできる対応とすれば、債務がある親に債務整理をして借金を解決してもらうという方法があります。

自己破産をしてもらえば、借金はゼロになりますので、債務を引き継ぐことはありません。

任意整理や個人再生で債務を圧縮し完済できれば、財産を残せるので相続財産にできる可能性もあります。

(まとめ)生前の相続放棄は無効!
遺産を相続したくない場合は代替案の選択を

民法上、生前の相続放棄は無効です。

どうしても遺産を相続したくない場合は、相続発生を知ってから3カ月以内に必ず相続放棄手続きを行いましょう。

 

また、相続させたくない相続人がいる場合は、遺言や贈与によって相続対策をすることが有効です。

相続放棄に関するおすすめ記事

3ヶ月経過している場合の相続放棄

特別な事情がある場合には、3か月経過していても相続放棄が例外的に認められる場合があります。

相続放棄ができないケースの紹介

遺産を処分してしまったら相続を承認したことになり相続放棄ができなくなる。

相続放棄に関するよくある質問

相続放棄についてよくある質問をまとめました。

未成年者の相続放棄

未成年者が相続放棄する場合の注意点。

特別代理人を選任するケースとは?

相続放棄申述書

相続放棄を自分でする場合、相続放棄申述書の書き方を紹介。

相続放棄照会書と回答書も解説

相続放棄の必要書類

相続放棄を依頼すると必要書類の多くは司法書士が集めてくれるケースがほとんどです。

自分で手続きする場合の書類と集め方を紹介

相続放棄の手続き

相続放棄の手続きの流れや知っておきたい3つの注意点・必要書類を司法書士が解説

相続放棄と代襲相続

相続放棄を行っても代襲相続は起こりません。勘違いしやすい相続放棄と代襲相続の関係を解説

相続放棄と生命保険

相続放棄をしても生命保険金は受け取れます。相続放棄すると生命保険金の非課税枠を利用できない点には注意が必要

監修者:黒川聡史

監修者:黒川聡史

保有資格と所属団体

  • 司法書士:東京司法書士会所属:登録番号4230号
  • 行政書士:東京都行政書士会所属:登録番号第19082582号
  • FP(FP技能士1級:日本FP協会CFP®)
経歴

昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。

相続の手続き|遺言書作成のご相談は

司法書士黒川

司法書士法人黒川事務所
行政書士黒川事務所
合同会社つなぐ

お電話でのお問合せはこちら

0120-971-259

受付時間

平日10:00〜20:00 土日10:00~17:00

祝日休み

ご相談内容と曜日によっては担当者がお休みを頂いている場合がございます。