相続・遺言に関する手続の総合案内(合同会社つなぐ(FP)×司法書士法人黒川事務所×行政書士黒川事務所の運営サイト)
認知症や知的障害、精神障害などを抱えている方は、自分で不動産や預貯金を管理したり、遺産分割の協議を行ったりするのが難しい場合があります。
成年後見制度は、こうした「一人で決めることに不安のある方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)」を行うための制度です。
成年後見制度を利用すれば、悪徳商法などの被害に遭い、よくわからないまま契約を結んでしまっても、成年後見人が後で契約を取り消すことができます。
しかし、成年後見制度はメリットばかりではありません。
成年後見制度のメリットとデメリットを知り、自分に合った制度を選ぶことが大切です。
本記事では、成年後見制度のデメリットや利用するときの注意点を解説します。
成年後見人は、弁護士や司法書士などの専門家が選任されることが一般的です。
裁判所の統計によると、親族以外(専門職)が成年後見人に選任された例は全体の約80.9%となっています。
親族以外の件数のうち、弁護士が選任された例は8,682件、司法書士が選任された例は11,764件です。
成年後見 | 件数(令和4年) | ||
---|---|---|---|
合計 | 3万9,546件 | ||
親族 | 7,560件 | ||
専門職 | 3万2,004件 | ||
弁護士 | 8,682件 | ||
司法書士 | 1万1,764件 | ||
社会福祉士 | 5,849件 | ||
市民後見人 | 271件 | ||
その他(行政書士等) | 5,438件 |
弁護士や司法書士に成年後見人を依頼すると、親族による財産の使い込みを防止できます。
また、不動産や財産の管理について、専門的な立場からアドバイスをもらうことが可能です。
一方、専門家に後見を依頼する場合は報酬の支払いが発生します。
成年後見制度の利用は、原則として中止できないため、後見を受けている人が亡くなるまで報酬を支払いつづけなければなりません。
(成年後見報酬は、1年1回のまとめての後払いとなります。)
裁判所によると、成年後見人の基本報酬の目安は月額2万円です。
預貯金や有価証券などの流動資産の金額が多く、財産管理が大変な場合は基本報酬額が上がります。
成年後見人の基本報酬 | 月額報酬 |
---|---|
管理財産額が1,000万円以内 | 月額2万円 |
管理財産額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合 | 月額3万円~4万円 |
管理財産額が5,000万円を超える場合 | 月額5万円~6万円 |
2. リーガルサポートに相談しよう
成年後見制度以外の選択肢も検討しましょう。
たとえば、認知症になるであれば、財産を家族で託して管理してもらう家族信託を利用する方法もあります。
家族信託は、成年後見制度と違って相続対策を行うことが可能です。また、家庭裁判所で申し立ての手続きを行う必要もありません。
ただし、認知症が進行した方の場合、家族信託を利用できない可能性があります。家族信託を利用できるかどうか知りたい方は、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみましょう。
【まとめ】成年後見制度のメリット・デメリットを知り、自分に合った制度を選ぼう
成年後見制度は、メリット以外にデメリットもある制度です。
たとえば、被後見人は後見人に対して、毎月数万円の報酬を支払う必要があります。成年後見人に選任された人は、さまざまな後見事務を行わなければならないため、手間や労力がかかるのもデメリットです。
成年後見制度以外にも、家族信託や任意後見を利用する方法もあります。成年後見制度のメリット・デメリットを知り、自由に合った制度を選びましょう。