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認知症になると家族信託は利用できない?基準を解説

家族信託とは、自分の財産(不動産・預貯金・有価証券等)を、信頼できる家族や相手に託し、特定の人のために、あらかじめ定めた信託目的に従って、管理・処分・承継する財産管理手法です。

 

家族信託は認知症になった後の財産管理の方法として、成年後見制度とともに注目されていますが、注意しなければならない点もあります。

 

本記事では、認知症になったときに家族信託が利用できるかどうかや、認知症が進行した後の代替手段を紹介します。

認知症と家族信託

認知症になると家族信託は利用できない?

家族信託

内閣府の平成29年版高齢社会白書によると、認知症にかかった高齢者の割合は、2025年には約5人に1人になるといわれています。

 

家族が認知症になった場合は、残念ながら家族信託を利用できません。

 

家族信託は契約(法的行為)の一種です。本人が意思能力を持たない場合、契約をはじめとした法律行為は無効とみなされます。

 

認知症が進むと本人の意思能力が失われ、1人で判断することができなくなるため、家族信託の効力も認められません。

 

家族信託の他にも、認知症が進んだ方は以下の法律行為も行うことができなくなります

  • 遺言書の作成

  • 生前贈与

  • 預貯金口座の解約

  • 生命保険の加入

  • 遺産分割協議

認知症になっても家族信託を利用できるケース

ただし、認知症になっても家族信託を利用できるケースが3つあります。

 

  • 初期や軽度の認知症の場合

  • 要介護認定を受けたが、判断能力は十分にある場合

  • 公証人に認められた場合

初期や軽度の認知症の場合

初期や軽度の認知症の場合、家族信託の契約を締結できる場合があります。

 

本人に十分な判断能力があれば、医師に認知症の診断を受けていたとしても、契約を締結することが可能です。

 

特に軽度認知障害(MCI)の場合、軽い物忘れしか症状が出ない場合が多く、十分に受け答えが可能な方も少なくありません。

 

認知症は一気に進行する場合もあるため、親の判断能力があるうちに家族信託の手続きを進めましょう。

要介護認定を受けたが、判断能力は十分にある場合

家族信託についてよく誤解されるのが、「要介護認定を受けたため、家族信託に加入できないのではないか」というケースです。

 

家族信託ができるかどうかは、実は要介護認定の有無とあまり関係がありません。

身体的な介護が必要な方でも、意識がはっきりしていて1人で判断できる場合は、家族信託を利用することができます。

 

家族信託に加入できるかどうか不安な場合は、かかりつけ医や弁護士、司法書士などの専門家に相談してください。

公証人に認められた場合

家族信託の契約書(公正証書)を公証役場で作成する場合は、公証人が本人の意思確認を行います。公証人が「本人の判断能力が低下しており、1人で契約を締結できる状態にない」と判断した場合は、家族信託の利用が認められません

 

公証役場では、以下の質問等を通じて本人の意思能力を確認します。

  • 本人が氏名や住所、生年月日をいえるか

  • どの財産を信託に入れるか把握しているか

  • 受託者を誰にするか把握しているか

  • 亡くなった後、財産を相続する人が誰か把握しているか

 

十分に受け答えができない場合は、本人の意思能力がないとみなされ、公正証書を作成できません。

認知症になって家族信託を利用できないときはどうする?

認知症が進んで家族信託を利用できない場合、代替手段はあるのでしょうか。

本人が重い認知症や精神障害を発症している場合は、法定後見制度(成年後見制度)を利用することが一般的です。

 

家族信託の他にも、本人が任意に後見人を選ぶ「任意後見制度」や、家族信託とよく似た効力を持つ「財産管理委任契約」などの財産管理手法があります。

ただし、任意後見制度や財産管理委任契約は、本人の認知症が進むと利用できなくなるため、家族信託の代替手段にはなりません。

 

法定後見制度は、本人の症状の度合いによって、後見・保佐・補助の3つがあります。

種類

対象となる方

成年後見人等が同意又は取り消すことができる行為

成年後見人等が代理することができる行為

後見

多くの手続・契約などを、ひとりで決めることがむずかしい方

原則としてすべての法律行為

原則としてすべての法律行為

保佐

重要な手続・契約などを、ひとりで決めることが心配な方

借金、相続の承認など、民法13条1項記載の行為のほか、申立てにより裁判所が定める行為”

申立てにより裁判所が定める行為

補助

重要な手続・契約の中で、ひとりで決めることに心配がある方

申立てにより裁判所が定める行為

申立てにより裁判所が定める行為

 

以下では、後見・保佐・補助のそれぞれの特徴やメリット、家族信託との違いを簡単に解説します。

 

後見(重い認知症や精神障害を発症した場合)

成年後見制度

家族が重い認知症や精神障害を発症した場合は、「後見」の制度を利用できます。

 

後見の場合、成年後見人に選任された人が、原則としてすべての法律行為を取り消すことが可能です。

 

例えば、認知症が悪化した家族が特殊詐欺などに騙され、不利益な契約を結んでしまっても、成年後見人が後から取り消すことができます。

家族の財産管理に加えて、契約に関するトラブルから守ることが可能です。

 

後見は認知症の他にも、統合失調症にかかった人などを対象としています。

 

保佐(中程度の認知症にかかっている場合)

家族が中程度の認知症にかかっている場合、「保佐」の制度が適用されます。

保佐の場合、借金や相続など、手続きの一部を保佐人が取り消すことが可能です。

 

また、あらかじめ代理権を付与している場合、保佐人が家庭裁判所の審判を受け、本人の不動産を処分することが認められます。ただし、家族信託と比べて財産管理の自由度はあまり高くありません。

 

例えば、投資目的の資産運用や相続税対策などは、法定後見制度の場合認められていません。

 

補助(軽度の認知症にかかっている場合)

本人が軽度の認知症にかかっている場合は、家族信託ではなく法定後見制度の「補助」を利用する選択肢もあります。

補助の場合、補助開始の審判と共に特定の事項につき同意する権限や代理する権限を付与します。

 

家族信託と法定後見制度のメリット・デメリットを比較し、本人や家族にとってベストな制度を選びましょう。

(まとめ)認知症が進行すると家族信託は使えない!法定後見制度の利用も検討しよう

家族信託は、不動産・預貯金・有価証券などの資産を信頼できる家族に託すことができる財産管理手法です。

しかし、家族信託は法律行為の一種であり、本人の意思能力が失われた場合は利用できません。

 

家族の認知症が進んだら、家族信託以外の手段を探す必要があります。

本人が重い認知症や精神障害にかかった場合は、法定後見制度(成年後見制度)を利用することになります。

 

家族信託について不安や疑問がある場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。

監修者:黒川聡史

監修者:黒川聡史

保有資格と所属団体

  • 司法書士:東京司法書士会所属:登録番号4230号
  • 行政書士:東京都行政書士会所属:登録番号第19082582号
  • FP(FP技能士1級:日本FP協会CFP®)
経歴

昭和51年生まれ。平成13年司法書士と行政書士の資格取得後、都内司法書士事務所で勤務。平成19年に独立開業し、平成30年に法人化し司法書士法人黒川事務所となる。また、ファイナンシャルプランニング技能士1級及びCFP®を取得しFPとしても活動している(合同会社つなぐ)。

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